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『午後の死』 2006-06-09  Fri
マン島TTレースにて、日本人のライダーが事故に遭って亡くなったニュースを耳にした。
ちょうど石原都知事が激励に行ったときだ、ということで大きく取り上げられていた。

私はバイクには乗らないので、亡くなった前田選手のことは存じ上げず、ただこうして祈るしかないのだけれど、そのニュースに耳をそばだてたのはやはり、森さんの影響。


ああ、どうしてこう、私は彼女に揺さぶられるんだろう。



『午後の死』の主人公も、マン島でのTTレースで亡くなっている。
彼女のいつもの作品からは多少異色だけれど、私はこの作品が好きだ。
頭の中に想像したマン島を走るバイク乗りたちの息遣いまでもが聞こえてきそうなほどの。

TVではちょうど、数年前に前田選手が走ったときの、バイク上からの映像が映し出された。
いくつもの、日常生活で使う道路のカーヴを正確に入って抜ける――作品中でもその描写は多かった。私自身もバイクでマン島を走っているかのような。

きっと彼女もマン島に行ったのだろう。目の前を駆け抜けるバイクの音に塗れたのだろう。
そしてきっと、TTレースを愛したのだ、と思う。森さんは、愛したものしか書かないひとだ。
何故、死で終わらせてしまったのか――は、わからない。
けれどあの作品の中では、主人公の死は、たぶん、解放だった。


重なる前田選手のそれは決して、そうではない。
これからを見ていた。きっと明日も、明後日も、来年のTTレースも、彼の目の前の道の先に続いていたはずだ。
彼女が愛したマン島TTレースで亡くなった前田選手に、哀悼の意を。

そんな動機では、前田選手を思う人々からするとひどく軽く見えるのかもしれない。
けれどもほんの少しだけ、その末席に加えさせてください。



敬意を込めて。

前田淳 マン島奮闘記
http://www.eigyo.co.jp/blog/mantt/
PAIN    CM:0   TB:0    
 

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